
大切なペットを亡くしたとき、飼い主だけでなく「残されたペット」も深い悲しみを経験している可能性があります。この記事では、動物行動学の専門家の知見を交えながら、残されたペットへの効果的なケア方法を解説します。
目次
ペット同士の絆と喪失感のメカニズム
動物の社会的知性
近年の研究で、犬や猫は「社会的知性」を持ち、仲間との関係性を認識することが判明しています。
特に3年以上同居したペット同士では、人間の家族関係に近い絆が形成されるケースが多く見られます。

喪失反応の3段階
- 探索期(1-3日):家中を探し回る
- 抑うつ期(1-2週間):食欲減退・活動量低下
- 適応期(1ヶ月~):新しい日常への順応
ペットの悲嘆反応は種を超えて現れると言われています。
猫が犬を、鳥が猫を慕うケースでも同様の反応が観察されているそうです。
残されたペットに現れる5つのサイン
- 食欲不振:好物への反応が鈍くなる
- 過剰なグルーミング:毛づくろいが異常に増加
- 徘徊行動:亡くなった場所を執拗に嗅ぐ
- 睡眠パターンの変化:昼間の仮眠時間が大幅に増加
- 飼い主への依存増加:離れるとパニック症状
効果的なケアの6ステップ
ステップ1:環境調整
- 亡くなったペットの臭いを残すタオルを一時保管
- 寝床の配置を変えずに清掃する
ステップ2:行動観察
- 1日3回の「行動チェックシート」作成
- 排泄や食事量を数値化して記録
ステップ3:刺激療法
- 新しいおもちゃで探索意欲を刺激
- 短時間の散歩コース変更
ステップ4:コミュニケーション強化
- 1日15分の遊び時間を設定
- トリックトレーニングで達成感を与える
ステップ5:専門家相談
- 2週間以上症状が続く場合は動物行動クリニックへ
- 行動修正療法や薬物療法の選択肢
新しい家族を迎える際のポイント
もしもお空にいるうちの子の弟や妹として新しい家族を迎えるご縁に恵まれたなら、それはお空のうちの子がいたからこそのめぐり逢いと言えるでしょう。
最愛のうちの子をお空へ見送るということは、その子を精一杯愛し抜いたとも言えます。
愛し抜いた後もお空のうちの子を大切に想う家族と出会えたペットは、とても幸せなはずです。
見送られたからこその葛藤もきっとあるでしょうし、いのちを家族として迎える責任もあります。
新しい家族を迎えることは簡単に決められることではありませんが、どうかそのご縁も大切になさってくださいね。
相性チェックの具体例
- 年齢差:3歳以内が理想
- 性別:異性ペアが衝突リスク低
- 犬種特性:狩猟本能の強い種は避ける
- エネルギー量:活動レベルを揃える
同居までのプロセス
- 隔離期間(3日):別室で臭いを慣らす
- ゲート越し対面(1週間):1日2回10分間
- 共同空間での監視下交流(2週間)
- 完全同居開始
最期に
愛するペットを失った悲しみは、人同士の喪失体験に決して劣りません。
しかし、適切な知識と準備があれば、残された家族全員が前向きに歩み始めることができるはずです。
ペットたちの絆が形作った思い出を胸に、新たな関係性を育む勇気を持ちましょう。

この記事を書いた人
荒木 奈緒美
愛猫を亡くしペットロスを経験、うちの子に導かれるようにディアペットへ入社。
店舗スタッフを経験し、ディアペット大阪・名古屋店長へ。
動物葬祭ディレクター1級、愛玩動物飼養管理士2級保有。