はじめに｜“優しい気持ち”がときに届かなくなることも

大切な家族であるペットを亡くした友人に、
「元気を出して」「大丈夫だよ」と声をかけたくなる気持ちは自然なことです。

しかし、善意から出たその言葉が、時に相手の心を傷つけてしまうこともあります。
ペットを失った悲しみは、経験した人にしか分からない深さがあります。
この記事では、「どんな言葉を避けるべきか」「どう寄り添えばいいか」を、やさしい視点でお伝えします。

ペットロスとは？悲しみの深さを理解することから

「ペットロス」とは、愛するペットを亡くしたことで感じる深い悲しみや喪失感のこと。
家族を失うのと同じほどの衝撃を受ける方も多く、心身に不調を感じる場合もあります。

• 食欲がわかない
• 眠れない
• 何をしても涙が止まらない

これは、心が“悲しみの整理”をしている最中の自然な反応です。
まずは「悲しんで当然のこと」と理解し、その悲しみを無理に軽くしようとしないことが大切です。

言ってはいけない言葉｜相手をさらに傷つけてしまうフレーズ

善意から出た言葉でも、相手にとっては重く響くことがあります。
以下のような言葉はできるだけ避けましょう。

「たかがペットでしょ？」

ペットを“家族”として暮らしてきた人にとって、この言葉は存在を否定されるように感じられます。
「大切な家族を失った」という前提を忘れずに。

「また新しい子を迎えればいいじゃない」

亡くなった子の代わりはいません。
その子だけの性格、思い出、愛しさがあります。
“次”をすすめる前に、“今の悲しみ”に寄り添うことが何より大切です。

「いつまで泣いてるの？」

悲しみの期間に正解はありません。
涙は心を癒すための自然な行為。
泣くことを責めないであげましょう。

「△△してあげればよかったのに」

多くの人が後悔を抱えています。
この言葉はその後悔を強め、心を責める原因になります。

「どうして亡くなったの？」

死因を尋ねるのは、相手に辛い記憶を思い出させることに繋がります。
特に突然の別れでは、避けたほうが良い質問です。

心を傷つけない寄り添い方

話を遮らずに「聴く」

アドバイスをするよりも、ただ静かに話を聴くこと。
言葉にしづらい想いを受け止める時間が、何よりの支えになります。

無理に励まさない

「元気出して」よりも、「つらいよね」「無理しないでね」と共感の言葉を。
悲しみを“消す”のではなく“受け止める”姿勢を。

思い出を共有する

「○○ちゃん、よく笑ってたよね」と一緒に思い出を話すことで、悲しみの中に少しのあたたかさが生まれます。

具体的な手伝いを申し出る

「ご飯つくるね」「買い物行こうか？」など、日常の小さなサポートが心を支えることも。

時間を尊重する

悲しみの癒え方は人それぞれ。
焦らず、その人のペースを大切にしましょう。

優しい言葉をかける

たとえば──

「○○ちゃんは幸せだったね」
「あなたがそばにいてくれて、きっと安心していたと思うよ」
　思い出と愛情を肯定する言葉が、少しずつ心に光を灯します。

忘れずに“その後”も寄り添う

命日や季節の変わり目など、ふと思い出すタイミングで
「最近どう？」と声をかけてあげましょう。
“気にかけてくれる存在”がいるだけで、人は少し強くなれます。

まとめ｜寄り添うとは、相手のペースに合わせること

ペットを亡くした友人への寄り添いで大切なのは、
「何を言うか」よりも「どうそばにいるか」です。

無理に励ます必要も、正しい言葉を探す必要もありません。
ただ「悲しみを受け止める姿勢」そのものが、友人にとっての支えになります。

あなたのその優しさが、
きっと誰かの心を静かに癒していくはずです。

この記事を書いた人

荒木 奈緒美
愛猫を亡くしペットロスを経験、うちの子に導かれるようにディアペットへ入社。
店舗スタッフを経験し、ディアペット大阪・名古屋店長へ。
動物葬祭ディレクター1級、愛玩動物飼養管理士2級保有。